5月20日(土)東北地理学会において、張紅助教の「大内宿における歴史的街並み保全を促進する要素の考察」(『季刊地理学』第74巻第1号所収,2022年)の研究が「東北地理学会研究奨励賞(長谷川賞)」を受賞しました。
東北地理学会は、自然地理学、人文地理学の両分野の研究者により構成される全国学会であり、「東北地理学会奨励賞(長谷川賞)」は若手地理学者(35歳以下もしくは東北地理学会入会5年以内)に授与される賞です。
張助教の論文は、重要伝統的建造物群保存地区(1981年指定)である福島県南会津郡下郷町の大内宿の歴史的街並みを対象に、茅葺き景観の保全ないし復元に関する個々の建築物所有者の行動を決定づけた契機と、その背景にある地域を取り巻く諸要素との関連を分析し、歴史的街並み保全を促進する要素を明らかにしたものです。
重要伝統的建造物群保存地区に関する論考は、建築学分野をはじめ数多く存在しますが、本論文は、1960年代から2021年に至る長期間を分析対象とし、景観を構成する40余棟の建築物について所有者の意思決定過程を調査した、包括的かつ緻密な研究が認められ、受賞に至りました。
受賞を受けて張助教は、「この度、東北地理学会研究奨励賞(長谷川賞)に評価された論文は私のデビュー作であり、事例地域の福島県大内宿には歴史的街並みが広がっており、私自身、一目ぼれしてしまいました。このような光景に魅了され、深い関心を抱いたことが私の研究の原点です。東北地理学会の先生方のご理解のおかげで、大変光栄な賞をいただき、心から感謝しております。賞を受取ったのは私ですが、受賞に至るまでには多くの方々のご協力がありました。これまでご指導してくださった修士課程の山形大学の山田浩久先生、博士課程の筑波大学の堤純先生に改めてお礼を申し上げます。また、調査に協力していただき、貴重な資料を提供してくださった福島県大内宿の皆様、およびお忙しい中査読をしてくださった先生方に、この場を借りてお礼申し上げます。この受賞を励みに、これからも頑張っていきたいと思います」と喜びを語りました。
本学では今後も教員の研究活動を支援してまいります。