FORUM21は課外の教養講座として実施している公開講座で、学内外の講師による幅広いテーマのプログラムを実施しています。
12月9日(火)、酒田市公益研修センター公益ホールにてFORUM21「海洋の安全保障と国際制度」を開催し、市民、本学学生、教職員を合わせて約90名が参加しました。講師として本学の樋口恵佳准教授と海上自衛隊の松﨑みゆき氏よりご講演いただきました。

はじめに樋口准教授は「国際法の考え方」をテーマに講演しました。国際法について「国際社会は構成員が国や国際組織であり、上下関係がない『主権平等』。国際法は、条約や国際慣習法など国家間の合意を意味し、『法的拘束力』はあるが、国を牢屋に入れるわけにもいかないので、その執行能力には限界がある。その限界にどう立ち向かうかが国際法の面白いところ」と話し、「他国と結んだ条約があれば国家はそれを遵守する義務があるため、国内法などへ変換して国内に効力を及ぼす必要がある。法学は法に事実を照らして『合法』か『違法』かを考えるため、『怖い』『嫌だ』などの感情とは距離をとる」などと説明しました。
次に松﨑氏より「海洋法と海上自衛隊の活動」をテーマにご講演いただきました。「日本は、四方を海に囲まれた海洋国家であり、石油や鉱物等のエネルギー資源の輸入のほぼすべてを海上輸送に依存していることから、海上交通路は非常に重要。海洋国家である日本にとって、法とルールが支配する海洋秩序に支えられた『開かれた海洋』を維持する必要がある中で、海洋法は海洋の法的秩序の根幹という位置づけである。また、『開かれた海洋』の維持は日本のみならず、国際社会全体の平和と繁栄に不可欠。海洋秩序の維持は、海上防衛力の役割の一つであると学術的に整理されている。日本の海上防衛力として海上自衛隊は日本周辺海域における警戒監視等の活動を実施している」として、日本周辺での活動に加え、インド太平洋地域における多国間共同訓練及び中東地域における海賊対処行動等、海上自衛隊の活動について紹介がありました。
また海洋法を履修している学生への紹介として、海洋法の知識は海上自衛隊で勤務する上で有用であり、法務要員として活躍する機会がある旨の説明が加えられました。

参加者からは、「今回の講義で、国を越えた外国との友好関係にも海上自衛隊が関係していることを知れた」「普段の生活では意識しにくい『海で日本を守る仕事』の素晴らしさを改めて実感できた」「海上自衛隊の活動が日本にとって改めて重要であることを知った」などの感想が寄せられました。
▼『海上自衛隊基本ドクトリン』は下記からご覧いただけます。
https://www.mod.go.jp/msdf/about/img/2024doctrine.pdf
地域共創センターでは、学生や教員が話題提供者となって開催する小規模で双方向形式の教養講座(共創カフェ)や、センターが企画?運営する公開講座(FORUM21)を学内外の講師による幅広いテーマで開催してまいります。開催については、本学ホームページや地域共創センターSNS(Instagram、Facebook)でお知らせいたします。